概要
東京工業大学地球生命研究所丸山茂徳 特命教授および情報・システム研究機構国立遺伝学研究所 黒川顕 教授ら研究グループ、文部科学省科学研究費補助金・新学術領域研究「冥王代生命学創成」 (課題番号 2605)において、これまで未解明問題であった「地球と生命起源」を解明する研究に取り組んできました。
2014 年度から始まった本研究によって、丸山 特命教授ら、生命誕生場および生命起源、進化に関 するこれまで定説を覆す新たな仮説を提案してきました。こ新仮説をわかりやすく専門外方々に紹介することを目的として、「冥王代生命学創成」研究チーム、有限会社ライブ上坂浩光氏とともに、動画「全地球史アトラス」を制作し、順次公開してきました。今回、新シリーズを公開します。
本動画で、最新研究成果により提案した仮説に基づいて、地球誕生、そして生命誕生と進化を映像化しています。

動画「全地球史アトラス」トップ画面(2018年7月13日現在)
動画作成の詳細
「生命の起源」の研究
本研究グループは、2014 年度から始まった、文部科学省科学研究費補助金・新学術領域研究「冥王代生命学の創成」(研究課題番号 2605)において、これまで未解明の問題であった「生命の起源」の研究に取り組んできました。丸山 特命教授らは、本研究によっていくつもの新たな仮説を提案してきました。
代表的な仮説は以下の通りです。
- 地球は大気・海洋のない裸の惑星として生まれたあと、二次的な隕石爆撃によって大気・海洋をもつに至ったとする、地球誕生の新たなシナリオである ABEL モデル
- 前駆的化学進化を促進するための理想的な場として新たに提案された生命誕生場のモデル、自然原子炉間欠泉モデル
- 最初の生命が誕生するまでの環境進化とそれに伴う生命進化を具体的に提案した三段階進化モデル、3ステップモデル
動画作成の経緯
「生命がいつ、なぜ、どのように誕生したのか」を解明するための研究は、生命科学からのアプローチだけでは前進させることはできません。たとえば、生命が誕生し進化する場としての地球のような惑星を生むためには、太陽系においてどのような条件が必要なのか?地球はどのように形成されて、大気・海洋を持つ惑星になったのか?地球誕生後の表層環境はどのようなものだったのか?生命誕生の場に必須な条件はなにか?など様々な問いが生まれます。つまり、生命の起源の研究は、天文学、物理学、生物学、地質学、地球化学など、独立した様々な研究領域を総合化した超学際的研究なのです。
「冥王代生命学の創成」では、それぞれの研究グループが相互依存的に密に連携する事で、生命誕生の場に焦点をあて研究を進めてきました。
こうした研究成果は、多岐にわたる研究グループが参加する超学際領域であるため、専門外の方々が理解することはたやすいことではありません。また、専門的な科学雑誌に論文として発表しただけでは、専門外の研究者および一般の方々がこれらの研究成果に触れる機会はあまりありません。
一方で、生命は、40億年以上過去に遡り、冥王代(46-40 億年前の時代)に誕生したと考えられていますが、冥王代地球の痕跡は現在の地球上にはほとんど残されていません。そのために、冥王代の地球環境や生命誕生の場は具体的にイメージしにくいと思われます。
動画の作成と公開
本研究グループは、これまでの最新の研究成果に基づき、冥王代の地球表層環境を復元し、生命誕生の場とそこで起きる生命誕生までのプロセス、生命と地球の共進化をよりわかりやすく映像で表現することを目指し、CG映像「全地球史アトラス」を作成しました。
「全地球史アトラス」の制作は 2015 年に始まり、すでに第1章(地球誕生)から第6章(生命進化の第3ステージ)が YouTube 上で公開されています。
その続編である第7章「生命大進化の夜明け前」、第8章「カンブリア紀の生命大進化」、第9章「古生代」が新たに公開されます。
これから
第1章の地球誕生から第9章の古生代終わりの生命大量絶滅までの映像が完成しました。今年度中には、古生代に続く中生代と顕生代、さらに地球の未来を映像化していく予定です。
中生代にはこの時代の代表的生物である恐竜が繁栄し、それと同時に我々の祖先にあたる哺乳類が誕生しました。それらがやがて霊長類へと進化し、やがて、脳の巨大化による人類の誕生と文明社会の開花へとつながるのです。
そして、科学の持つ予言能力から導かれる地球の未来を描き、地球生命史全体をまとめあげる予定です。
作成体制と支援
研究領域代表である黒川教授の指揮のもと、丸山特命教授を中心として動画を作成しました。
動画作成にあたり、有限会社ライブの上坂浩光氏の協力を仰ぎました。上坂氏は、2011 年に開催された第52回科学技術映像祭において、映像作品「HAYABUSA BACK TO THE EARTH 帰還バージョン」で文部科学大臣賞を受賞するなど、多数の受賞歴を持つ CG クリエーターで、小惑星探査機はやぶさ、ならびに、はやぶさ2(宇宙航空研究開発機構)に関わる映像作品も制作しており、自然科学に非常に造詣が深く、また、生命の誕生や進化の謎に人一倍興味を持つ人物の一人です。
文部科学省科学研究費補助金・新学術領域研究「冥王代生命学の創成」(課題番号 2605)の支援の下におこなった研究の成果を映像にしたものです。







