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独立行政法人国立科学博物館(館長:林良博)が、平成21年度から平成25年度までの5年間にわたり実施した「皇居の生物相調査第Ⅱ期」で採集されたハダニ科の中に、新種が含まれていた事が分かりました。同調査に参加された流通経済大学 経済学部 後藤哲雄教授とイリア州立大学(ジョージア、旧グルジア)ティア・アラブリ博士が共同で、本種の記載を行いました。

本研究の成果は、平成31年2月12日付で国際的な分類学の専門雑誌であるZootaxaで公開されました。日本からアケハダニ属の新種が記載されるのは、10年ぶりとなります。

また、独立行政法人国立科学博物館(東京都台東区)で現在開催している「天皇陛下御即位三十年記念展示 企画展『天皇陛下の御研究と皇居の生きものたち』」(~3月31日)において、この新種のハダニを展示しています。


 ○研究のポイント

  1. 平成 21 年度から平成 25 年度までの 5 年間実施された「皇居の生物相調査第Ⅱ期」で採集されたハダニ科のダニ 25 種の中に、今回記載した新種が含まれていた。なお、この「皇居の生物相調査第Ⅱ期」において、皇居から初めて植物寄生性のダニが記録された。
  2. 平成 23 年 6 月 6 日に生物学研究所の近くにあるヤマグワから採集した Eotetranychus(アケハダニ)属のハダニについて、コウキョアケハダニ Eotetranychus palatiensis (エオテトラニカス・パラティエンシス、パラティエンシスは、「皇居にすむ」という意味)と命名した注1。
  3. 本種は、アケハダニ属の 4 種群のうち、pallidus (パリダス)種群に属する種である。つまり、生殖口蓋の直前の皮膚条線が不規則であり、生殖口蓋上の皮膚条線が横走する注 2。
  4. 本種は外部形態の特徴に加えて、ミトコンドリア DNA(COI 領域)の塩基配列によっても、日本産の近縁種とは完全に識別できることを明らかにした。
  5. 本研究は、国立科学博物館が主宰した「皇居の生物相調査第Ⅱ期」(研究期間:平成21~25年度)とJSPS科研費JP25292033(研究期間:平成25~28年度)、JP17H03775(研究期間:平成29~32年度)によって実施されました。


参考図


図1.コウキョアケハダニの雌成虫。



図 2.コウキョアケハダニ雌成虫の生殖口蓋(g)とその直前の皮膚条線の線画。


用語解説

注1) ヤマグワの葉裏の葉脈沿いに生息しているクモ綱ダニ目ハダニ科に属する、体長 0.5mm 未満の植食性の節足動物。

注2) 参考図 2 を参照。


掲載論文

【題 名】

New species of the genus Eotetranychus (Acari, Prostigmata, Tetranychidae) fromJapan (日本産アケハダニ属(ダニ目、ケダニ亜目、ハダニ科)の新種)

【著者名】

Tetsuo Gotoh, Tea Arabuli

【掲載誌】

Zootaxa

doi: 10.11646/zootaxa.4555.1.1