研究課題情報

研究課題番号

日本の研究.com 研究課題ID 日本の研究.com : 148280

厚生労働科学研究費補助金 : 199800346A

研究期間 1998年度 ~ 1999年度
(平成10年度 ~ 平成11年度)
事業区分
事業分野

研究費情報

年度 年度総額
1998 4,200,000 円
総額
4,200,000 円

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保育所における長時間保育が乳幼児の心身にどのような影響を与えるのか、その実態を明らかにし、そのうえで保育の処遇・長時間保育の在り方を追求する。

留置き式の質問紙法による調査と面接聴取調査を実施した。質問紙法の調査対象は、全国47都道府県の長時間保育を実施する公私立全4,628保育所(厚生省児童家庭局保育課監修『全国保育所名簿』平成8年による)であった。調査票は直接郵送により配票・回収した。回収率は19.2%であった。調査の期間は平成11年1月~2月であった。集計処理は、株式会社流通情報センターに委託した。

1.アンケート調査:890園(公立307園、私立551園、公私立不明32園)から回答を得た。保育時間が8時間以上にわたっている子どもは全体の3分の2であった。保育時間が9~10時間、10~11時間、13~14時間、14時間以上では、いずれの年齢でも私立園の平均人数が多かった。8~9時間と12~13時間では、年長児では公立園が多く、年少児では私立園の平均人数が多かった。長時間保育における公私立園の違いは、対象児の年齢と関係している。長時間保育の体制については、一部の職員でローテーションを組む体制では公立と私立で差がないが、公立園は私立園と比べて、全員でローテーションを組むという体制が少なく、非常勤の長時間保育専任職員を採用していることが多かった。午前7時30分頃の職員構成について調べたところ、クラス担任保母が8割程度の園で就労しており、ついで多いのは長時間保育専任保母であった。職員の就労形態を比較すると、私立は公立よりも常勤が多く、公立は逆に非常勤とパートが多かった。同時間帯の職員人数の合計の平均は、公立、私立ともにいずれも3名未満であった。常勤は私立が公立よりも多く、非常勤とパートは公立が私立よりも多かった。夕方6時30分頃の職員配置は、午前7時30分頃に類似していた。長時間保育を行う場所では、約9割の園が通常の保育室を利用していた。長時間保育を実施している理由は、公私立園ともに、保護者の要請が最も多く、次いで、公立では市町村(行政)の指示・要請、私立では園の保育方針によるものが多かった。長時間保育のクラス編成については、午前、午後とも大きな差はなく、7割前後は「クラス編成はなく合同で保育」を行っている。そして、2割ぐらいの保育所で「乳児と幼児のクラスを分けて保育」を行っている。午後(6時30分頃)はそれまでの時間帯と比べて、「違った様子を見せる」と答えた数値は、1~3歳児が大きく年齢が上がるとともに減少している。このことから、低い年齢児ほど、それまでの保育時間とは異なった様子を見せており、その後、保育所での生活に慣れてくると、その数値が低くなってきている。長時間保育の子どもの姿の特徴について、年齢別に多くあげられた回答からその特徴を見ると、0~1歳児は、「保母のひざを独占しようとする」、「泣いたりむずかる」、「やたらあまえる」といった保母とのスキンシップを求める行動が特に多い。このことは、子どもを温かくありのまま受け入れなければならないという子どもに対する援助の在り方をも示している。3~5歳児になると、まだ不安な行動を見せることもあるものの、「異年齢の子どもの世話をしたり、かわいがる」、「好きな遊びに熱中する」といった姿が多くなる。この年齢においても、「おちつかない様子」を見せるものの、それぞれが適応した姿を見せている。夕方の保育担当者の配慮を調べた。0~2歳児では、「寄ってきた子どもを受けとめようとする」「子どもの体調に特に留意する」等の項目が多く、保母はスキンシップを十分にとり、精神面・健康面を配慮している。3~5歳児では、「好きな遊びがじっくりできるようにする」、「事故・怪我などの対応を特に心がける」、「子どもの話をじっくり聞く」が多く、4・5歳になると「異年齢の子どもとの交流を大切にする」がそれに加わってくる。年齢が大きくなると、活動する範囲も広くなるので安全面と、子どもの活動に対する配慮がなされている。長時間保育で夕方に配慮している点としては、「保母を複数配置している」や「常に常勤の保母を一人は配置している」のポイントが高かった。また、より長時間に対応している私立保育所では「おやつや軽食・補食を出すようにしている」もののポイントが高かった。長時間保育のためのカリキュラムは、公私を問わず、特にカリキュラムは組まれていなかった。長時間保育の子どもの様子を保護者に伝える人は、長時間クラス担任が最も多く、次いでクラス担任が多かった。伝え方は殆どの保育所が口頭で知らせており、約半数の保育所では併せて連絡帳が利用されていた。2.保育所勤務の看護職に対する意見聴取調査:長時間の保育における問題点としては、看護職の意見等から判断して、感染症をはじめとする疾病異常の問題、精神保健面の問題、食事や授乳等による栄養摂取の問題、基本的生活リズムにかかわる問題に大きく区分することができよう。これらの問題点は、保育対象の乳幼児の条件、保育者等の保育体制に基づく条件、保護者側の条件に起因して発生するものといえる。乳幼児の食事の問題も重要である。今後さらに、保育時間が長くなるか、その子ども家庭の食事の時間を考慮して、それぞれの乳幼児に適応した授乳を含む食事の提供を配慮すべきことが必要である。例えば、幼児に提供する食事を、軽食にするか、または完全な形の夕食にするかといった問題もあろう。感染症は、集団保育の場においては日常的なことである。長時間の保育の乳幼児では感染の機会が多く、繰り返して罹患すること、治癒までに長時間を要することが指摘されている。この実態は、多くの要因が考えられるが、その一つに異年齢の乳幼児が同一の保育室で保育されていることがある。感染を防ぐ基本的方法が長時間の保育においても実践されることが不可欠となろう。このような感染等による発病の予防以外にも、乳幼児の基本的な健康の保持増進を図るためには、保育者の乳幼児の健康に関する十分な知識の習得と認識を深めることが必要である。養成機関を終了してすぐに就労する人材も多いことから、この点を強化した保育者養成教育も必要であろう。看護の視点から、望ましいと考えられる長時間の保育については、次のような考察ができる。①保健面として、看護職の配置されていない保育所や看護職の勤務外の時間帯においては、夜間受診体制を含む園での対応の基準を明らかにしておくこと、②人的条件として、対象児の人数、年齢分布、等により保育者数の整備が可能であるようにし、保育担当、片づけ担当、調理担当の人員を配置できるようにすること、③保育内容については、一斉保育になじまない時間帯もあることも配慮した個別の保育内容の工夫、適切な食事の調整を図ること等をあげることができる。

公私立を併せて890の保育園を調査し、併せて保育所職員からも一部聞き取り調査を行った。8時間を超え、長くは13時間余に及ぶ長時間の保育が3分の2以上の園で実施されていることが明らかになった。しかし、実施の実態には公私立園間に格差が見られ、保育時間が長くなるほど、私立園に依存する傾向がみられた。全体的には長時間保育児は年齢が高いほど多くなっていた。長時間の保育には細かな配慮や事前の計画が必要と考えられる。しかし、園独自で長時間保育の計画を立てているものは、極めて僅かである。長時間保育のための施設や担当職員の立場・配慮の状況についても、公私立園の間にかなりの違いがあった。人間関係を築く能力の育つ低年齢時期の保育の担当者のあり方や、おやつ・食事の配慮、保健や介護の体制等には、解決すべき課題のあることが窺がわれた。