研究課題情報

研究課題番号

日本の研究.com 研究課題ID 日本の研究.com : 961834

JSPS 日本学術振興会 : 96L00505

研究期間 1996年度 ~ 2000年度
(平成8年度 ~ 平成12年度)
事業区分
関連リンク

開く

開く

研究費情報

年度 年度総額
1996 100,000,000 円
1997 100,000,000 円
1998 100,000,000 円
1999 100,000,000 円
2000 100,000,000 円
総額
500,000,000 円

期間:原則5年間
規模:年間5千万~3億円程度 ※平均年間約1億円程度

※このページの内容は、引用元からデータを取得した時点の情報のため、実際の情報と異なったり、古い情報が掲載されている可能性があります。
それぞれの情報の詳細や最新の情報については、各引用元サイトをご覧ください。

※研究課題のタイトルや概要文などから、日本の研究.com独自の分野自動推定アルゴリズムで研究分野の推定を行っております。
詳しくは [ 推定分野について ] をご覧ください。

細胞に生理応答を引き起こすホルモンなどは、細胞表層に存在する特異的な受容体タンパク質によって識別され、そのシグナルを細胞内へと伝達していますが、細胞内では別種のタンパク質がそのシグナルを受容し、さらに下流へとシグナルを伝達していきます。このような細胞内現象が起こるためには、シグナルを受け取った個々の情報変換タンパク質に、まず、高次構造の変化が起こることが必要で、これを引き金として、タンパク質の会合・解離、あるいは酵素の活性化などが起こると考えられます。したがって、シグナル伝達系においては、化学的な変化と共に、物理的な立体構造(コンホメーション)の変化が伝達されているわけです。
本プロジェクト研究では、三量体Gタンパク質をはじめとした細胞内の情報伝達タンパク質について、それらの活性調節の機構を分子レベルで解明していますが、シグナル伝達過程における静的および動的な立体構造の変化については、X 線結晶構造解析および核磁気共鳴法なども用いて解析しています。シグナル伝達系における機能タンパク質の立体構造の変化が眼で見える形で捕えられれば、将来的にはこのような情報をもとに、シグナル伝達のオン-オフを識別するような薬物デザインも可能となり、創薬科学への貢献も期待できます。

細胞に生理応答をもたらすホルモンなどの細胞外シグナルは、細胞膜受容体と結合しますが、細胞内では別種のタンパク質が受容体刺激の情報を受容しています。これらの情報伝達タンパク質には、上流からの情報を受け取るリガンド受容部位と下流の経路に新たに情報を送り込むシグナル発生部位が存在します。本プロジェクト研究では、以下のような三量体Gタンパク質及び関連機能タンパク質について、それらの活性調節の機構とリガンド受容およびシグナル発生部位の高次構造変化の解析を進めています。これらの研究を基礎に、各機能部位に作用するモデルペプチドの結合型コンホメーションから非ペプチド性化合物を設計し、創薬への可能性を探ることができます。
(1) 諸種のGTP 結合性制御タンパク質の構造と機能の解析
Gタンパク質のβγサブユニットによって活性化される新たな標的タンパク質として、リン脂質 PI3-キナーゼなどを同定し、βγによる活性化機構とシグナル伝達に果たす役割について解析を進めています。また、GTPとの結合ドメインを完全に保持した新規の G タンパク質(GSPT-1,2)ファミリーを同定し、その構造解析、翻訳終結に果たす役割を検討しています。さらに、免疫、神経系細胞の表層に存在し、受容体あるいは受容体に対するリガンドとしての役割が推定されているヌクレオチド代謝酵素の生理機能についての解析も進めています。
(2) 新規のタンパク質キナーゼカスケードの解析
細胞はホルモンなどの細胞外シグナルの他にストレスなどにも応答しますが、このシグナル伝達には、細胞増殖に至る経路に存在するタンパク質キナーゼ(MAPK)カスケードに類似した経路が介在しています。このストレス刺激に応答するSAPK/JNKカスケードについて、遺伝学的な手法も含めて機能タンパク質分子の同定、およびマウスの発生、器官形成と関連から解析を進めています。
(3) 抗体の抗原受容部位、ヒト腎臓の膜表層酵素の構造解析
抗体の抗原受容部位やヒト腎臓の細胞表層に存在する酵素タンパク質2量体の全三次元構造の明らかにして、抗原やジペプチドの受容と認識の機構を原子レベルで解明しています。また、ペプチド性リガンドなどの設計、Fabry 遺伝病を生ずるリソゾーム酵素についても解析を進めています。
(4) Fc レセプターを介するシグナル発生機構
ホロファイバーシステムを用いた可溶性Fcレセプターの大量発現系および安定同位体標識法の確立を進め、可溶性Fcレセプター結合部位の同定、及び細胞傷害性活性へのシグナル発生機構を解析しています。
(5) PAF アセチルハイドロラーゼの活性制御と構造解析
神経細胞の発育異常を来たす Miller-Dieker 症候群の原因遺伝子産物が、PAF分解酵素(PAFアセチルヒドロラーゼ)のβサブユニットであることを見出しましたが、この酵素は触媒活性を担うα 2 およびβサブユニットとのヘテロ三量体であり、そのX線構造解析からαとβはそれぞれGタンパク質のαとβに酷似した高次構造をとることが明らかにされました。構成サブユニットの解離・会合と本酵素の活性調節機構、及び神経細胞の発育異常との関連などは、今後の解明すべき興味ある課題です。

東京大学大学院薬学系研究科に所属する生理化学教室、蛋白質構造生物学教室、生命物理化学教室、衛生化学教室が緊密な連絡をとってプロジェクト研究を進めています。